退職代行業者とは?弁護士法違反って本当?知るべき利用リスクを解説

20代転職の考え方

退職代行業者とは?弁護士法違反って本当?知るべき利用リスクを解説

退職代行業者とは

退職代行業者とは、退職を伝えにくい職場環境にある人に代わり、職場に退職の意思を伝えるサービスを行う業者のことです。業者によってサービスレベルはさまざまで、中には弁護士しか行えないようなサービスまで提供する業者があり、弁護士法違反として問題になっています。

退職代行が注目される理由

退職代行が注目される理由は、端的に言えば「退職したいのにできない」という悩みを抱える人の急激な増加にあります。

少子高齢化による人手不足が急速に進行する中、特に若い世代の労働者は、会社を辞めたくても辞められないと感じる場合が少なくありません。全国の労働局に寄せられる相談も、今や解雇より退職に関する相談のほうが上回っているのが現状です。

本来、退職したいなら本人が直接会社側に退職の意思を伝えるのが筋です。しかし、深刻化する人手不足を背景に、会社側の引き止めが度を超してひどいケースが増えています。そのため、なかなか辞められず悩みを抱え込む人は増える一方です。

退職したくてもできない人にとって、退職代行業者は救いの神と言えるでしょう。しかし、会社側は貴重な人材を突然失うリスクがあり危機感を募らせています。突然退職代行業者から連絡を受け取って戸惑い、現場は引き継ぎなどができず混乱するという会社も少なくありません。

退職代行業者は弁護士法違反(非弁)?

退職代行業者の一部は、弁護士法違反(非弁行為と呼ばれます)のサービスを提供している可能性があります。「弁護士法違反のサービス」とは具体的にどういうサービスなのでしょうか。

一部の退職代行サービスは違法

会社へ退職の意思を伝える橋渡しをするだけなら、弁護士法には抵触しません。しかし、会社側から何かのリアクションがあった場合に対応して、本人に代わって交渉を進められるのは、代理人として委任された弁護士だけです。

退職代行業者側が本人に代わって会社側と交渉することはできません。そのため、会社側のリアクションに対しては、結局本人が対応する必要があります。会社側からのリアクションに対して本人に代わって交渉してくれる業者は一見して良いように見えますが、実は弁護士法違反を犯しているのです。

弁護士法違反(非弁)の退職代行の落とし穴

弁護士法違反を犯すサービスを提供している業者に対し、会社側はその業者を通して交渉を進める義務はありません。そのため、会社側は退職代行業者の相手をせず、あくまでも本人に連絡をする、という対策を講じてきます。退職代行業者は、未払い分の残業代や有給休暇の買い取り交渉など、弁護士の資格が必要な交渉は一切できません。

その結果、退職代行業者に退職にまつわる交渉も含めて依頼したつもりなのに結局自分で交渉する羽目になり、会社側から不利な条件を押し付けられる可能性があります。

また、大きな事業に関わっていたのに突然退職して、会社側がクライアントに迷惑をかけて信用を失い失注などに至る場合もあるでしょう。この場合、最悪は会社から損害賠償訴訟を起こされるケースもあり、大きなトラブルに発展する可能性もゼロではありません。

弁護士のみ行える退職代行サービスとは

弁護士のみ行える退職代行サービスは、主に以下の4つです。

  1. 退職日や業務引き継ぎの調整
  2. 未払い金支払いの交渉
  3. 有給消化や買い取りの交渉
  4. 退職書類の作成や手続き

対応する弁護士がいないにもかかわらず上記のサービスを「できる」と謳っている業者は、違法業者なので利用しないよう注意してください。

1.退職日や業務引き継ぎの調整

会社と交渉して、不必要な退職日の引き延ばしや業務引き継ぎを調整できるのは弁護士だけです。民法上は、雇用者が退職の意思を示した2週間後には退職できますので、弁護士は依頼者にとってより良い方向に交渉を進めてくれます。また、会社側から損害賠償を求められることのないよう、慎重に交渉してもらえる点でも安心です。

2.未払い金支払いの交渉

未払い金、例えば残業代や本来もらえるはずの退職金などについての支払い交渉も弁護士のみが行えます。弁護士の資格がない退職代行業者が交渉することはできません。

3.有給消化や買い取りの交渉

退職を思いつめるほどの職場環境では、有給休暇もまともに消化できていない場合が多く見られます。この交渉も、退職時には必要です。ただし、有給休暇の消化や買い取りの交渉も、弁護士のみが行える行為です。

4.退職書類の作成や手続き

退職関連の書類作成や手続きも、弁護士のみが代行可能です。弁護士ではない退職代行業者は、直接手を下すことはできず、あくまでも本人が行う手続きについてアドバイスする程度です。

退職代行業者の利用リスク5つ

ここまで説明してきたことをまとめて、退職代行業者を利用するリスクについて解説します。退職代行業者を利用して、発生しやすいリスクは以下の5つです。

  1. 退職交渉が滞る
  2. 依頼したはずが、自身で会社とやり取りする
  3. 会社からの損害賠償請求
  4. 退職に失敗して業者に料金だけ取られる
  5. 懲戒解雇の可能性も

退職代行業者に退職に関わる一切を依頼したつもりになっていると、これらのリスクに見舞われて大変な思いをする可能性もあることを知っておきましょう。5つのリスクについてひとつひとつ説明していきます。

1.退職交渉が滞る

会社側は、退職代行業者が本当に本人と契約を交わしているのか、細かく確認を取ってきます。また、退職代行業者が弁護士法違反になる交渉にまで関わってくると、会社側はその点をついてくるかもしれません。結果的に退職交渉が滞り、こじれる可能性があります。

2.依頼したはずが、自身で会社とやり取りすることに

弁護士の資格を持たない退職代行業者は、依頼者の退職意思を伝えることはできても、退職日や引き継ぎ業務、未払い金についての交渉は一切行えません。これらの退職における肝心な部分については、結局すべて自分で交渉する羽目になります。退職に関する交渉事もすべて丸投げしたい場合は、弁護士を通すしかないことを覚えておきましょう。

3.会社からの損害賠償請求

業務の引き継ぎが適切に行われない場合や、辞めるタイミングによって取引先企業に迷惑をかけて金銭的な損失が発生する場合は、さらに事態が深刻です。これらのケースに該当すると、会社側から損害賠償請求を受ける可能性があります。

弁護士なら、そのようなリスクを回避して交渉してくれますが、退職代行業者ではそもそも弁護士法違反になるため交渉できません。

4.退職に失敗して業者に料金だけ取られる

退職が成功しようが失敗しようが関係なく、料金を取る退職代行業者もいます。退職の成功率を明示している業者でも、会社と交渉できる弁護士の資格を持っていないと、退職が成功するとは限りません。退職に失敗して料金だけ取られ、会社との関係も悪化した状態になると「何のために退職代行業者に頼んだのか」という状態に追い込まれます。

5.懲戒解雇の可能性も

即日退職を謳っている業者は危険です。業務の引き継ぎを行わず即日退職すると、債務不履行で懲戒解雇となり、退職金が支払われないなど退職者に不利な状況に陥ります。

基本的に、会社に退職の意思を伝えてすぐに退職することはできません。法律では、退職の意思を伝えてから2週間後に退職できる、と定められています。これは、その間に業務の引き継ぎを想定しているためだ、と考えてください。

退職の意思を伝えた後の業務引き継ぎが苦痛な場合は、退職に動く前にある程度業務の引き継ぎ資料を作っておき、すぐ渡せる状態にしておくなどの対策をしておいたほうがいいかもしれません。

スムーズな退職のため、退職代行業者の利用と選定は慎重に行いましょう

退職代行業者は、時代のニーズにより大きく注目されるようになりました。弁護士の資格を持たない退職代行業者は、単に退職の意思を伝える部分を任せることしかできません。退職の意思を伝える部分だけの代行に対し、数万円を支払う価値があるかどうかも検討してみましょう。

退職にまつわるすべての交渉を頼みたい場合は、弁護士が対応してくれるような仕組みを持つ退職代行業者かどうかを必ず確認してください。できれば、退職代行サービスを行っている弁護士事務所に直接相談するほうが安心です。スムーズな退職を進めるためにも、退職代行業者を通す場合は業者選びを慎重に行ってください。

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